顔面骨骨折がんめんこつこっせつ

顔面骨骨折がんめんこつこっせつ

病気の説明

顔面の骨は前頭骨、鼻骨、頬骨、上顎骨、下顎骨などいくつかの骨から構成されます。眼球をいれる骨のくぼみ部分は眼窩がんかといい、周りは薄い骨で囲まれています。顔面骨骨折は顔面に強い外力が加わることによっておこります。具体的には交通事故、スポーツ外傷、暴力などです。特異な例として眼球部分に野球のボールや相手の肘などが当たり、眼窩壁骨折を生じることがあります。

顔面を構成する骨

若年者の眼窩壁骨折では緊急手術が必要となる場合があり、目を動かしたときの激しい痛みや、吐き気がある場合は直ちに受診が必要です。それ以外の顔面骨骨折では、骨折の程度によって手術を行わずに経過をみる場合と、手術によって骨をもとの位置に戻して固定する(整復固定術)ことが必要になる場合があります。手術が必要かどうかは、骨折に伴う変形や症状の程度や、その症状が時間を経て改善するかどうかによって判断されます。

顔面骨骨折によって比較的生じやすい症状は以下の通りです。

  • 前頭骨骨折(額の骨):額の陥凹変形
  • 鼻骨骨折・鼻篩骨骨折:鼻出血、鼻の変形(斜鼻、鞍鼻など)
  • 眼窩壁骨折(眼球を入れる:複視(物が二重に見える)、眼球の陥凹、上口唇・鼻翼部のしびれ、吐き気や目を動かしたときの痛み
  • 頬骨骨折:頬部の平坦化、開口障害(口があきづらい)、上口唇・鼻翼部のしびれ
  • 上顎骨骨折:咬合異常(かみ合わせが合わない)、顔面の変形(顔面が平坦になったり、上下にのびたりして顔貌が大きく変化する)
  • 下顎骨骨折:咬合異常、開口障害、下口唇のしびれ

骨折をすると顔面の変形をきたしますが、受傷直後から骨折部は腫脹し腫れがひくまでの数日間は変形が明らかでない場合があります。

診断方法

どのように受傷し、どのような症状があるかである程度の診断は可能ですが、単純X線写真やCT検査により診断を確定します。眼窩壁骨折の場合は眼球の動きの評価も行います。

治療方法

手術治療には、皮膚を切開しないで、骨を元の位置(あるいは元に近い位置)に戻す方法(非観血的手術)と、皮膚や口の中を切開して骨折部位を直接露出し整復後に金属プレート等で固定する方法(観血的手術)があります。近年では骨折の程度によって体内に吸収されるプレートが選択される場合もあります。
顎骨に骨折がある場合には、顎間固定といって上下の歯を噛んだ状態で数日から数週間固定します。この間、口は開けられません。固定にはアーチバー副子という金具を針金で上下の歯に装着するか、IMFスクリューという上下の顎骨に打ち込むネジを使用します。

著者

大阪医科薬科大学形成外科
准教授 塗 隆志

著者

日本医科大学 千葉北総病院
教授 秋元 正宇

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